年に一度の友人の晴れ舞台である。

毎年この時期に、友人が所属する楽団の定期演奏会にお呼ばれ。
普段はヌボヌボしている友人が、一年に一度の輝くステージを見ない訳にはいかない。
と言う事で午後一番のバスに揺られ、紅葉の始まった街路樹なんてのを窓越しにうっとり。
頬杖をつきながら秋の空に想いを馳せ。。。るはずもなく、
連れ立った友人とキャッキャ、キャッキャ!
もちろん周りの乗客に迷惑をかけるような大騒ぎではない。
目に入るもの全てに反応しまるで遠足気分。
バスに乗ると何故だか遠くに行くぞい!ってな感じに舞い上がる。
ほんの15分程だったとしても。。。
さて、ようやく目的地に到着しバスを降りてすぐに異変に気付く。
む?むむむ?むむむむ?
はうぅうううううッ!!!!携帯バスに落としたぁ!!!!
急いで降りたばかりのバスを探す。
バスは既にロータリーを一周し、回送バスに変わり大通りに出て行くところだ。
いやぁああああッ!!!!
キョトンとしている友人を尻目に、大通りの片隅に止まっている回送バス目掛けて走りだした。
まるでサスペンスドラマの刑事並の走り!
撮影さながらに「待てぇッ!!!」なんて叫び出したい衝動を抑える。
ガードレールを挟んだ道路に回送バスが停車。
バスに近寄りたいが、路駐自転車の山と長いガードレールに右往左往。
駆け出してみたものの、電車の扉が目の前で閉まって乗り遅れた通勤途中のサラリーマンのような動作を意識しながら回りこめる場所を探す。
バスは丁度休憩時間なのか、「回送」を表示したまま脇の扉を開け放しステップに座りながら携帯を触ってる運転手さん。
「おう兄ちゃん!そのバスもう少し待っといてや!」
心の中で語りかけながら運転手さんに近づく。
「す、すみません。今駅から来たバスですか?」
つい今しがたの勢いは身を潜め、内弁慶丸出しの猫なで声でとりあえず携帯迷子の事情を話しつつバスに乗り込む。
数分前まで座っていた場所に辿りつくと、悪戯坊主がペロリと舌を出すかのごとく堂々と我が携帯電話が座席にド〜ンッ!
容疑者確保ぉ〜ッ!!!の瞬間である。
運転手のお兄ちゃん?も「あったかい?良かったねぇ」と微笑む。
「はいッ!」ここ数ヶ月内でとびきりの笑顔を返してみた。
それにしてもこの荻窪駅は鬼門なのかも知れない。
今年、丸の内線の網棚に定期入れを落とし、買い替えたばかりの携帯電話の着信第一号に「駅員さん」と言う名を刻ませつつ荻窪駅まで引き取りに足を運んだ。
しかも忘れ物引取りセンターがわからず端から端まで歩いた。
結局、最初に出た改札の横だった事に一周して気付いた。
まぁ今回はバスがそのまま出発してしまわずに捕獲する事が出来ただけでも良しとするか。
さて、本題の定期演奏会。
今回はモーツアルト、ベートーベン、ブラームスの三大Bの2人 with Mのドイツ作曲家である。
以前、オーストリア旅行時に全員の墓参りもしたし勝手に知り合いのような気分で演奏を嗜む。
しかし、何を隠そう私クラシックは好きで聴く事もしばしばあるのだが、何気にオーケストラは苦手な方である。
ピアノ音が好きでピアノ協奏曲を主に聴いてきたので、管楽器の音色の判別があまりつかないのだ。
先日N響アワーを見ながら友人に
「この曲すごいねぇ。今度演奏して見せてよぉ」
なんて軽口メール。
「ちなみにこれオーボエね」
と窘められた。てへ。違いのわからない女である。
そんな感じなのでいつも素敵な感想を友人に言ってあげる事が出来ない。
友人の旋律を追おうと耳を澄ましてみるが、移動の激しいラインを演奏してる楽器につられている。。。
来年は、友人のパートの楽譜でも貰おうかしら。