土屋賢二さん著者
土屋 賢二
文藝春秋
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「なぜ人間は八本足か」なる補足題名があったので気になってお買い上げ。
哲学は嫌いではない。
昔から「なんでだろう?」「なんでそうなんだろう?」と常に思っていたので、哲学の考え方に少し触れているのでは?!
と、勝手に思っている。
しかし学問としての勉強はした事がない。
シェイクスピアは好きで何篇か読んだが、ソクラテス、アリストテレスなんてのは一読もした事がない。
強いて言えば、かなり昔に「ソフィーの世界」と言う素人にも読みやすい哲学入門小説?を読んだのが近いかも知れない。
最近ではニーチェをわかり易くし、サルトルなんてのも人気があるらしい。
まぁ心して掛かろうと思って本作を手にしたのでは無いが、いざ読み始めると、筆者の語り口調に数ページで嫌気。
これは好き好きなのでどうしようも無いのだが、言葉尻が「〜よね」と読者に強要すると言うか
「自分は言い切らないケド、こういう事かどうかを読者が判断しているんですよ」
的な話し方は苦手だ。
そして本作はその口調が延々と続く。
同じ単語や言葉の復唱も1ページに何個あるんだい?
と、正の字で数えたいほど頻出。
サブリミナル読本とでも言い切りたいくらいだ。
まぁ「これが哲学的表現方法なんだよ?」と言うのであれば、致し方ない「自分は哲学は無しの方向で!」となる。
結局読み辛くて半分に達しないところで読破を断念したのだが、1点だけ「何言ってるのか全然わからない」という部分があった。
「自分と本人」の違い。
「自分がどんな感覚を持っているかを判定するのは、自分ではなく本人が最高の判定者である」※一部省略
と記してあり「自分」と「本人」を言葉巧みに使い分ける本書。
そもそも、語尾を無視してほぼ飛ばし読みしていたせいもあるのかも知れないが、すっかりついていけない事態になった。
すぐさま八つ当たり的に友人に不満をぶちまけると、友人は本書を奪い取り、問題の箇所の前後2〜3ページをサラリと読む。
「あぁ、なるほどね」
ものの1〜2分で理解する友人。
ぬ?なんだ?なんだ、なんだ?!!
目を丸くする自分。
「だからね、簡単に言うと自分は心で本人は脳」
2つ程例を出して説明され、ようやく納得。
本書半ページに渡って回りくどく書かれていた内容を、友人はものの数分で頭の固い自分に理解させてしまった。
もともとこの友人は説明の仕方は上手い。
それを踏まえて読むと、前半から半分まではこう理解させるために例題をウダウダと連ねている。
結局著者が何を書こうしているのかがわかったので志半ばで読破断念に至ったのだが、そりゃしょうがないか。
本作は入門ですもの。
久しぶりにちょっと毛色の違う読書であった。