ロバート・B・チャルディーニ著者
ロバート・B・チャルディーニ
誠信書房
売り上げランキング: 683
非情に興味深い人間心理の本である。
故にとても時間をかけて読破した。
人の考えは十人十色とは言うものの、ある同条件下において不思議な程同じ行動や心理を抱く確立が増加する。
そういった事象について、実験をともなった社会心理学の著者が行った研究成果を認めたのが本書とでも紹介しておこう。
社会心理学!
なんて言うと急に興味を喪失してしまう人もいるかと思うが、お堅気な書物に関しては読まず嫌いをする前に目次だけでも目を通して見ると、意外と書名とは裏腹で自分が想像しているよりも敷居の低い内容だったりする。
最近では、一般受けしやすいように身近な事柄を比較対照物にしたエッセイ風な本も多数あるが、よくよく読んで見ると対象物は慣れ親しんでいるものなのに、結局難しい隠喩が書き散らかしてあり、最初の数ページで眠りの世界に誘われる。
なんてな事にもなる。
経験談だが。。。
本書は「影響力」と謳っているだけあり、
「深層心理は自分と意図せず利用される事もある」
なんてな現実を突きつけられる。
「おいらは誰の影響も受けないぜいッ!」
なんてな捻た挑戦的な心で読み始めたとしても、そういった自我が強い人ほど何かしら自分に対して気付く事があるのではないかと思う。
こう断言するのは何故か?
かくゆう自分がまさに「ドキリッ!」とさせられたからである。
そもそも自分はプライドが高いと思う。
「私が庶民のお茶汲みやコピーなんて出来なくってよぉ!!!」
と言う格差社会のプライドでは勿論無く、自分自身に対してのプライドと言う意味である。
自分が決めた事には責任を持ちたいので、実現するためのプロセスはしっかり考えた上で決断する。そしてそれを決めた以上は失敗or成功するまで成し遂げる!
勿論、精査した結果自分には夢物語だと判断した事には潔く尻尾を丸めて立ち去る。
それを称して「自己プライド」と言いたい。
社会で生きる上で、何の対価も無く自分のワガママで通ることはほぼない。
「この商品には消費税払うケド、これは払わない!」
「遊びに行きたいからお金出して」
「この家に住むから出て行って!」
なんて傍若無人道がまかり通っていたら、味気の無い人生になるだろう。
自分に都合良く無いルールがあるからこそ打破しようという気持ちにもなれるのだ。
なんて自分の性質をチラミ書きすると、
「はうぅ。。。なんて頑固なレディーさん。。。」
と言われそうだが、ちゃんと人の意見も聞ける大人さんでもある。
誰の意見を聞くかは吟味しているが、何かに挑戦して自分自身のしている事に責任を持っている人の体験談なんてのは大好物だ。
そして必ずしも成功者の意見が正しいとも思わない。
根本的に「合理的に生きたい!」という気持ちがあるから良いとこ捕りに走る傾向にもある。
結局欲張りさんは捨てられないというところが人間らしいと自負。
何故にこんな大真面目なブログを書き散らかしているか?
この本の「影響力」なのだろう。
「マインドコントロール」
心理学を制する者が、良くも悪くも他人の心を操るという行為だと漠然と思っていた。
しかも、他人の一喜一憂に左右される自分に自身の持てない人こそがはまりやすい、なんて認識していたが、自分のように自己責任を強く持とうとする人インに考える性質こそが、最も危険な行動に出るという事に気付いた。
この本は、他人の言動や外見だけではなく「世間体」というものが自己判断に影響する事実があるということに気付かされる。
最初は営業マンの交渉技術やマーケティングの方法として活用できる本かと安易な気持ちで読み始めたが、ビジネスにかかわらず生きていく上で何かしら考えるきっかけになる本では無いかと思う。
社会人1年生から熟年まで、幅広い層にお勧めしたい本である。
ちなみに、この本の次
「影響力の武器 実践編」
N.J.ゴールドスタイン S.J.マーティン R.B.チャルディーニ
誠信書房
売り上げランキング: 3669
なんて続本もあるが、本書「影響力の武器」を簡単にまとめた同じ内容なので、同時にお買い上げするのは避けた方が良いかも。
決してお安い値段の本では無いので。