綾辻行人さん著者
綾辻 行人
講談社
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館シリーズの6作目である。
奇妙な館を設計する建築家中村青司の作品「黒猫館」を舞台に巻き起こる殺人事件。
エピローグからお馴染みの鹿谷氏、江南氏が登場するのでシリーズを通して読んでる自分は心が逸る。
今回の手法は、とある記憶喪失の老人が持つ焼け残った手記から一連の事件が表ざたにされる。
手記を持った老人は一時的な記憶喪失のため、自分が綴った手記なのか、それとも推理作家に憧れて書き上げた小説の真似事なのか?
雲を掴むような状況の中、実在の話なのかを確かめるべく2人が立ち上がるのだが、シリーズを読みなれた自分としては、館にカラクリがあるのも承知、一人称で語り自分達と一緒に推理をしている人物こそが犯人という事が有りうるのも承知、つまり作中誰も信用せずに読み進む術を熟知しているので多少の事には惑わされない。
事件は、黒猫館と呼ばれる館でお坊ちゃま学生達の行き過ぎた行動で起こった死亡事件。
自殺?他殺?事故?
いつもの事件時の密室が真相を混乱させる。
今回の事件は当事者達がクスリで正気では無かった事により、全員が加害者の可能性を否定出来ない。
未来ある学生達がどうするか?
エドガー・アラン・ポー「黒猫」作戦?!
。。。あんまり書くと読む前にピンッ!ときて読み応えが無くなるので、お戯れはココまでにするが、館に黒猫の風見鶏(猫)はあるものの、
「そもそもの由来はこのシュチュエーションを描きたいがために黒猫館にしたな!」
なんてニヤリとしてしまった。
まぁ、そんな密室事件から第二の事件が発生するので推理好きには飽きさせない展開。
そもそもシリーズ化の作品はマンネリが多くなり、ファンを飽きさせてしまうという危険がある。
そこを上手く著者はスルリと潜り抜け読者を出し抜く。
自分は、本作の犯人も紆余曲折しながらも的中する事が出来たが、その後のどんでん返しにはまたしてもヤラレタ。
「そう来るかいッ!!」
思わず本に突っ込んでしまった。
多分、著者の本シリーズで犯人を的中する読者は多いと思うが、その後の展開までを読める読者は少数では無いだろうか。
自分が騙されるから負け犬の遠吠えに聞こえるが。。。
相変わらず、最終的に尻尾を巻かされる著者の次作長編を読み始めた。
現在、長編1〜4部作と他1作で館シリーズが終わっている。
久しぶりにはまった日本人作家だったのでまだまだ館シリーズを書き散らかして欲しいが、とりあえず今ある作品の推理に没頭せねば!なのである。