金森重樹さん著者
金森 重樹
大和書房
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借金あっても何とかなるんだね〜
金森さん、有難う。
他の本と併せて読みましょう
多額の借金を背負った経緯から返済までの体験談
いいけど…
この本は、現在、株式会社を設立され、不動産会社、ホテル経営、行政書士事務所と幅広く経営に携わる著者の実体験が書かれた本である。
ちなみに経歴等は、本書の著者プロフィールを抜粋させていただいた。
さて、「借金の底なし沼で知った お金の味」という事で、
上京して来た著者が、引き返せない借金に陥るまでの過程と、
そこから生還するまでが書かれているのだが、読みやすい語り口調である。
所謂普通の大学生が、卒業後ぼんやりと将来を定められずに生活しているという極々一般的な人生の中で、たまたま知恵のある人と、たまたま窮地に立たされている営業マンに、たまたまその時に出逢ってしまった事から借金という重いものを背負う。
ここで言いたいのは、著者が特別な欲があったから借金するに至ったのではなく、誰にでも起こりえる「気付いたら雪だるま式に膨らむ借金地獄」があると言う事である。
人の優しさは、常に思いやりの心からくるものとは限らない。
騙す方が悪い、騙される方が悪い、堂々巡りの問いだが、
騙される方には「知らなかった」という自己責任を問われるものもある。
著者も何度か本の中で「世間知らず」という気持ちを呟く。
学校では絶対に学ぶことのない勉強が世の中にはあるのだ。
そして著者は始めに格差社会をちらつかせている。
やはり、大金持ちに生まれるのと貧困に生まれるのでは、手に入れられる物のスタートラインが違うのだ。
それは教育で考えると分かりやすいが、私立大学、医大、ものすごくお金がかかる。
子供の教育投資に十分に答えられる家庭がどれだけあるか。
著者は、東京大学で学ぶにあたり格差を目の当たりにしている。
そして「あたり前」として与えられる物事の「何故」を考えないと「世間知らず」になり思い通りにならない現実に対処出来なくなるのかも知れない。
裁判にまでなった著者の借金。
生還するにあたり、ものすごく努力されたと思う。
本書では「血の滲むような努力でぇえええ!!!」とは書かれず、さらりと書き上げているので読んでる自分がどんよりする事は無いが。
ただ、個人的に生還への道に格差を感じた。
著者は借金返済のため就職されているのだが、その仕事は、高卒、資格、経験無しではなかなか与えられない仕事だからだ。
これは著者の能力と東大卒というブランドがあったからだと思う。
人は窮地に追いやられると、自分が知っている以上の力を発揮する。
その発揮する土台が違う。
どん底から返済への取っ掛かり、そして力をつけていくまでの過程がサックリとしか描かれていないのが残念である。
もしも今、借金返済の可能性が1ミリも無い人が著者と同じ道を辿る事はなかなか難しいだろう。
もちろん、「真似をすれば大丈夫!」という本でも無いしそんな本はどこにも無い。
「発想の転換」これこそが著者が這い上がった秘訣なのだろう。
いつか自分が莫大な借金を抱えて首が回らない事になったら、著者の秘訣を思い出したいと思う。
借金しないに越したことは無いんですけどね。
会社は「借入れ」という借金、そして負債を抱えて成長する過程が出てくる事があるものです。