2011-6-8 20:20
ダーレン・アロノフスキー監督
いやぁ。。。。面白かった!
てへッ。
第一声を感想から入ってみた。
そもそも、予告編を見た時からとても楽しみにしていた映画である。
アカデミー賞主演女優賞だからと言うよりもナタリーポートマンは好きだし、バレー業界のサスペンスなんて?!!
ストーリーは、主人公のナタリー扮するニナが母と二人三脚でストイックにバレーに人生をかけている中で、バレー団の現プリマが引退するという事から始まる。
当然全員がプリマを目指す。
バレーは芸術だと言われながらも、究極を求めている汗臭いアスリートと同じで最後は精神的に強い者だけが頂点に立てるのだろう。
技術や才能があっても精神力が満たないと、そのどれも発揮する事は出来ない。
※ちなみに、本作はプリマを目指すために日々鍛え上げるロッキーのような作品ではない。
前半の早い段階でニナがプリマに抜擢されるのだが、そこからの心理描写が恐ろしい!
完璧に踊れるニナが唯一持っていない自由奔放な感情、それを持ち人を魅了する新入りのリリー。そんなリリーをライバル視しながらも二人は友情らしき物を深める。
お互いその奥には嫉妬と言うこの世で一番醜くも原動力となる気持ちを潜ませる。
プリマとして踊るニナにとって、今回の監督が演じさせる白鳥と黒鳥の2面性が重く圧し掛かる。
完璧に白鳥は踊れても、自由で官能的な黒鳥が全く魅力的に表現出来ないのだ。
もともと完璧主義で生真面目なニナは、監督からの自分の中にある黒鳥を表現しろと言う言葉に精神的に追い詰められ、幻聴や幻想を見始める。
その幻想が、爪が鳥のような生え方をしてきたり、背中に羽が生えてきたりという急にグロい映像になる。
何気に何度か目をそむけてしまったシーンもあるくらいだ。
これがR指定の原因かなぁ。
精神バランスを崩していく中で最高のクライマックスの舞台へと進むのだが、全編通して言葉の少ないナタリーだが、表情や立ち居振る舞いの表現で物凄く観客を引き込む。
レオンの時もそうだが、存在感だけで何かを表現出来る数少ない女優さんなんだろう。
劇中何度となく流れる「白鳥の湖」。
これだけシーンによって全く違った感じに聞こえるのも珍しい。
もはや効果音では済まないだろう。
作品自体の作り方が素晴らしいとこうまで印象が変わるかねぇ。
観終わった後に本作は心理スリラー作品だと知った。
サスペンスかと思っていたケド、スリラーなのねぇ。。。。
本作は崩れ行くナタリーの精神状態が描写されているが、実際、どこの部分から精神崩壊の序章が始まったのか?
これは人それぞれに感想が違う気がする。
圧倒的にプリマになって以降と言う人が多い気もするが、自分的にはそれまでストイックにバレーを続けてきた中のどこかで既に始まっていたのでは無いかと思う。
決して弱い人間が心の闇に囚われてしまう訳ではないと改めて思った作品である。
さて、本作はバレーの踊るシーンの代役がガヤガヤと口を出してきているらしい。
アカデミー賞を受賞した作品だから声高に自分が代役していたと言いたいのか知らないが、バレーを経験した人や日頃から鑑賞している人達ではなく、自分のような素人からすれば、ナタリーが半年そこらで踊れるようになるとは思っていないし、彼女の演技があるからこそ踊りのシーンに感情移入しているのだ。
素人の自分は、何が凄くてどの演技がプロじゃないと出来ないなんて知らないんだもの。
後からガヤガヤ言うのはとても残念。
そうは言っても、本作はナタリーの代表作の1本になるだろう。
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