「温暖化」がカネになる |
2008-8-27 20:02 |
北村慶さん 著者
さて、のっけから辛辣なタイトルの書籍。
が、しかし、実際こう思っている人は世界中にたくさんいるだろう。
いい意味でも、悪い意味でも。
まず、この本は3章からなっている。
第1章では、あらゆる場面で話題になる「地球温暖化」問題について、
「エアコン設定を28℃にし、クールビズにしたものの、どの程度地球に役立っているのか分からない、そもそもなぜそんなことをしなければならないのかも知らない」という一般市民の理解について、それが普通の感覚であり、現実だという視点から始まる。
そして、「悪いのは、本当に人類なのか」の疑問点を、研究されている地球の過去の気候の変化や、同じ太陽系の水星や金星の比較、大気に含まれるCO2やメタン、一酸化ニ窒素、代替フロンの説明をしつつ、温室効果ガスについて、図を盛り込みわかりやすく書いてある。
第2章では、排出権取引とは、何がどううごめいていて、世界各国の思惑は何かということから、日本が京都議定書を守るために「排出権」を税金で買うことが既に決まっているが、その「排出権」とは何か、また、それに目をつけるヘッジファンドについて、キャップ&トレードと言われる仕組み、企業が絡んでの金融事情が、さっくりと書かれている。
金融知識が無くても、わかりやすく書かれているので、この機会に「排出権取引」について簡単に把握するのも良いかと思う。
金融専門の方には、触りのスキームしか書いてないので、あくまでも本の流れとして読んで欲しい。
そして最終第三章で、現在の資本主義経済の考え方が、人類にとって都合の良い仮定の下に作られている事の危険性を指摘し、今後、地球と人類双方にとって、都合の良い経済学を考えるべきだと提案している。
現在、少子化ばかりが前面に出るが、地球人口は増加の加速度を増している。
この本の中で著者は、人類の生存と地球環境を同時に満たすための究極の方策として、理論上考えられる仕組み「人口増加権」の売買を紹介している。
人類が増える以上、豊かな生活を望み、地球に負荷をかけることは避けられない。
そして「地球を汚染する権利」と批判の側面をもつ「排出権」が売買されたことから、「人口増加権」の売買は、空想ではなく、現実として予想されると。
ちなみにこの本は、環境問題に便乗してお金儲けをする事を否定している本ではない。
むしろ、人々の善意に頼ることで地球環境を守るという事の限界から、人々の欲求である「お金儲けの欲望」を刺激することで地球環境が守られるような仕組み作りの必要性を伝えているのである。
人は誰しも豊かになりたいという欲望がある。
そして、一度手に入れた便利さや豊かさはなかなか手放せない。
失って気付く大切さ。。。そうならないように考え、行動していかなければいけないのではないか。深く頭を悩ませるのである。
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