女は黙って濡れネズミ その2 |
2009-6-17 22:26 |
勇者は大雨の中飛び出した。
ちなみに本日の装いは、白い半そでのカーディガンにピンクの花柄スカート、緑のペッタンコ靴、つまり最も戦場にふさわしくないレディさん服である。
一生懸命走るも、ペッタンコ靴の中ではソックスがスリップと格闘。
スベスベ生地のスカートが太ももにベッタリ、予期せぬセクシーレディーさんに変わりつつある。
ベシャベシャと走ってるうちに
「重いなぁ、この鞄」
腕マッチョの原因の一つと疑っている通勤鞄がズシリと感じる。
ん?!鞄?!。。。?!!!!
閃いた!閃いてしまった!
と言うか気付いてしまった!
何かのCMだかテレビだか映画だかで見覚えのあるシーン、そう、急な夕立から逃れるように鞄を頭に掲げ走り去るサラリーマン。
実に面白い!早速やってみよう!
と言う事で鞄を頭上に掲げてみる。
おぉ!やはりそうなのか!
雨から多少逃れているような気がする。
それから数メートル、掲げた鞄が罰ゲームのようにその重さを強調し始める。
そもそも掲げる用鞄では無い。
もし適応する掲げ鞄と言うものが存在するのであれば、明らかに否である。
「レディさんの重い鞄なんてタイシタコトナイデショウ。」
なんて思われるとそこはかとなく心外である。
誰かがこっそり入れた百科事典が潜んでるのでは?!と思われる程、凶器的な鞄なのだ。
機会があったら重量を量りブログにお披露目したいくらいだ。
そんな訳で、名案と思われた鞄掲げ戦法が、今や足かせとなり始めた。
腕マッチョは力尽き、ついに鞄を頭に乗せる民族スタイルへと変貌。
そこで問題!
「人は5〜8キロある物を頭に乗せて走れるか?」
答えはイエスである。
しかしある極限において1分間だけ。
とりあえず頑張ってみたが、最終的に頭に乗せていると走るどころか歩くことすら覚束なくなり、いつも以上のロースピードに成り下がっていることに気付いた。
既に全身がびしょ濡れである。
辺りには誰もいない。
ラストスパートの心臓破りの坂。
そもそも駅から家まで徒歩7,8分。
意を決すまでもなく、鞄を頭から降ろし足早に歩き始めた。
心は青春モードに突入。
大雨の中傘もささずにレディーさんが徘徊するなんて、もはやドラマの主人公、激情の巻き!である。
家、到着後、まさかの玄関で服を脱ぎ散らかしそのままシャワーへと向う。
「シャワーって暖かい」
素直に呟きながら濡れ鼠は体と心を温めたのであった。
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