激震スクープ? |
2011-10-16 20:12 |
夜も更けて、まどろみに誘われようと瞼を閉じかけた瞬間。
ピロリーン!
メール着信音が響く。
う〜ん。。。モタモタ。
本日の意識スイッチをオフにする直前だったため動作が鈍い。
よいしょっ。
電気も点けず暗闇でメールを開く。
「兄さま結婚したんだってね!!」
ハトコのお姉ちゃんからのメールである。
う〜ん。。。もぞもぞ。
兄さま?あぁ、自分の兄ね。
う〜ん。。。結婚?へぇ〜ッ。。。。
ぬ?結婚?誰が?
兄さま?誰の?
え?えぇえええええッ?!!!!!
ついさっき残念だと罵ってはばからない自分の兄が結婚?!!!
寝耳に水とはこの事である!
ようやく脳内活動が平常を取り戻したと同時に激震が走る!
結婚した事うんぬんよりも、まず本人からでも母からでもない、ハトコの姉ちゃんから一大事が告知されるなんて?!!!
しかも、メール着信の前日までお祭り男の心配だなんだと母や本人とは蜜に連絡を取っていたのに、そんなことは一切口に出されていなかったのだ。
なんだ?なんでだ?
祝い事を披露する瞬間なんていつも以上にあったはず!
なんだ?この企業のコンプライアンス以上に情報漏洩しないトップシークレット状態は?!!!
そもそも、兄が結婚するって事は、我が一族に女人が加入するってことだ。
その一族の一員であるはずの自分に何の知らせもないなんてことがあるのか?
百歩譲って後報告になるとしても、あんだけ報告のチャンスがあったにも関わらず、そんな雰囲気をおくびにも出さないなんて。
しかも本人だけじゃなく母も。
まさか「言ったつもり」とかの天然一家か?
それとも「わざわざ言う程のことでも無い」ってな完全な見切り判断か?
会社には「ほうれんそう」なんて言葉があって、「報告、連絡、相談」は組織として重要なことなんだぞ?
なんだこの他人行儀は?!
寂しいやら悲しいより、家族への不信しか起こらない。
もともと我が家は何故だか家族間のプライベートは完全に守られていて、身内よりも他人の方が我が家の詳細を知っていたりした。
仲が悪いとかではなく、家族の共有レベルがかなり軽視されているのかも知れない。
そんな代表的な出来事がある。
実は昨年、自分の父が他界した。
突然のことだったので、母から緊急招集がかかり、仕事を午前中に切上げ実家へと向ったのだが、その連絡も兄からメールで届き、兄はとにかく至急実家に向かい、自分はメールに気付いた午後遅くに実家へと急いだ。
ちなみに、この時自分は数年実家に足を運んでいない。
国内線の料金が高いので、安上がりな海外に逃亡するのが主な理由だが、久しぶりに帰った実家は駅周辺から何からすっかり様変わりして右も左もわからない状態。
とにかくタクシーに乗り込み自宅まで急いだ。
さて、いざ家の前に着くと灯りはついているものの何だか静まりかえっている。
自分が到着した頃にはすっかり夜も更けていたので、一通りのことは終わっているからなのかしら?と少し戸惑ったものの、とりあえず玄関を開ける。
何だか様子が違う。
普段なら「ただいま!」なんて言ってそのまま家に入り込むのだが、先に来ているはずの兄の靴も無く、玄関に新聞紙をひいてその上に靴が置かれている。
入るのが何故か戸惑われ、
「お母さん?」
と中に声をかけてみる。
するとひょっこりと顔を現した女性が「はい?」と答える。
またしても眼鏡を忘れ顔がボンヤリとしか見えていないので、再び
「お母さん?」
と声をかけると、
「あ、隣に引っ越してますよ」と。
えぇえええッ?!!!
何?何なの?!
父がどうこうのという思いより、引越しを知らず他所の家を開け、知らない人をお母さん呼ばわり!
「す、すみません」
なんてな事を上の空で言いながら隣の家に向うと、確かにお通夜やお葬式の時間などが書かれた紙が入り口に貼ってあった。
なんてな事件があったものだから、今回の結婚話も伝え漏れは有り得るのだ。
既に時計は深夜。
母に確認しようにも寝ている時間だし、本人直撃するのも気が引ける。
「こんな時間にメールなんて非常識な妹!」
なんてお嫁さんに思われたら今後の小姑の座が危うくなる!
ここは、仲良しの友人にメールで今の思いのたけを。。。
早速友人に
「兄が結婚したらしい!連絡はまだない」
夏目漱石の我輩は猫であるもどきのメールを送る。
直ぐに友人から「爆笑した」との返信が届く。
友人の家庭環境も不思議な関係なのだが、流石に友人の兄の結婚前にお嫁さんとは何度も会っていたし、結婚報告も本人から受けたのに、我が家はハトコの姉ちゃんからの連絡、しかも未だに本人からも母親からも何にも知らされていない。
おろおろする自分に対して暫く笑いの止まらない友人。
はうぅッ。。。。
その夜はすっかり眠気も醒めていたがとりあえず横になって夜明けを待った。
翌朝。すかさず母に探りメール送信!
直ぐに母から電話が鳴り響く。
「なに?それ、私も聞いてないよ?」
えぇえええッ?!!!!
兄は帰省してたにも関わらず伝えてないのかい?!!!
母も
「戸籍謄本送ってって言われてないのにねぇ。。。あ、今はどこでも入手できるか」
なんてのんびり。
これは一族の戸籍チェックが必要か?!
そもそも母も自分も会ったことのないお嫁さん。
むむぅ。。。。
あるのか?そんな事が?
いや、ありえるな、あの兄なら。
聞かなければ何も言わない。
そんなこんなで最終的に兄に直撃メールを送る。
「おい、兄貴!君は結婚したのかい?」
いつになくストレート球を放り投げる。
暫くの無返信状態が過ぎ、満員電車に揺られていると
「してないぞ?誰情報だ?」
のぼんやり返信。
結局、人づての伝言ゲームが失敗し、ハトコに行き着いた時には「結婚している」話になっていたと言う単なるガセネタであった。
う〜む。。。なんだかなぁ。
人騒がせなハトコに問い詰めると「あ、そうなんだ」とさっぱり。
危うく家族のトップシークレットを共有してもらえない自分が、拗ねて暴れるとこだったのに。
なんともおっとりなハトコを尻目に平穏な日常へと戻るのであった。
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