米澤穂信さん著者
米澤 穂信
文藝春秋
売り上げランキング: 329
今上映中、藤原竜也さんが出演している同名映画の原作である。
普段、自分は原作本などは読まないのだが、ぼんやりとした映画の粗筋を見て何となく興味を持っていた。
時給11万2千円の求人に、様々な理由で募集した12人の男女。
詳細不明のまま採用されたアルバイト先の密室で起こる連続殺人事件。
そもそもアルバイトの詳細こそが報酬を巡るサバイバル実験だったのだ!
ミステリー好きがここまで聞くと即座にアガサクリスティー著作「
そして誰もいなくなった
」を想像するだろう。
そして殺人による無差別殺人サバイバル!となると、高見広春さん著作「
バトルロワイヤル
」すら浮かんでくるやも。
実際、解説にも「バトルロワイヤル」の話も出てくるのだが、この解説にて「バトルロワイヤル」がスティーブンキング改めリチャード・バックマン著作「
死のロングウォーク
」をオマージュしているとは初めて知った。
自分は、全く別のタイミングで「死のロングウォーク」を読んで驚愕していたのだが、まさか「バトルロワイヤル」と繋がろうとは。。。
言われてみると「ふ〜む。。。」と思うが、似て非なり。
脱線したが、そもそもの時給11万2千円という半端な数字設定に何かしらの意味があるんだろうなぁとは思っていた。
最近、数学者の本や小説を読んでいたので敏感になっている事もあるが。
しかし、本作においては結構無理矢理な展開に持っていくなぁなんて感じた。
相変わらずネタばれに近い感想を書く予定はないので確信に触れないが、
参加者達の背景が描かれていないので誰にも感情移入が出来ないのと、主人公の結城という青年の中盤以降の性格が微妙に違和感を覚えた。
何だか無理矢理読者に説明する存在になってしまったような。。。
密室の連続殺人、しかも凶器はミステリーファンにはたまらない日常有り得ない物、なんてな事になると数多くの旧作と比較されざるを得ないのだが、本作品ではミステリー読みが期待してしまうアイテムを出しながらも、何の演出にもならなかったのは残念に思う。
そういったオマージュ部分はミステリー初心者には優しくないだろう。
意味深に登場したアイテムが結局意味がないのだから。
こう書くと批評に聞こえがちだが、犯人探しに目一杯推理して先を先を読み進め、ちょっとした頭休めにお買い上げした小説だったのに、2日で一気に読み上げてしまったので文章に魅了されていたのだと思う。
設定が面白かっただけに、動機とクライマックスをもう少し楽しませて欲しかったというところだろうか。
。。。本も書けないくせに生意気発言!てへッ。
こういう作風なら前に読んだ、北山猛邦さん著作「
アリス・ミラー城殺人事件
」の方が好きだなぁ。。。
読書の秋も深まるばかり。
たまにはミステリーナイトの夜長をお過ごしあれ!