綾辻行人さん著者
綾辻 行人
講談社
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館シリーズの第2作である。
第1作「十角館」の続きもので、同作品に登場した十角館を設計した建築家が設計した水車館での殺人が今回のお話。
この著者の作品はまだ2作目なので、こういう手法が定番なのかはわからないが、
本編に入る前にプロローグが描かれる。
そしてこのプロローグは、読み終わった後に「あ、そういえばあれって。。。」てな感じで読み返す事になる。
特にヒント的な事を描いているわけでもないが、読み返してみると妙に人物像がリアルにイメージでき、また違った感じで読める。
さて、本作は、水車館で年に1度しか公開されない絵のコレクションのお披露目会で事件が起こる。
正しくは1年前に事件が起こった。
本作は過去、現在、現在、過去、と時系列で章が進むのだが、同じ日の同じ行事、同じ顔ぶれで事が進むため混乱もなくすんなりと頭に入る。
それどころか、先が気になって途中で手を止める事が出来ない。
要所、要所で推理脳を働かせる箇所がある。
読み進めながらも容疑者を絞り込み大方の推理を完成させる。
クライマックスへ向うと共にその推理パズルが一つ一つはまっていく。
思うに、多分そう捻くれた難しい推理ではない。
ただ、前作もそうだが、犯人を当てる事は出来ても更にその裏にある驚くべき真実までは推理出来ていない。
これが今自分を魅了している。
そもそも犯人に目星がついたら、次にするのは犯行の裏づけ、そして動機。
2時間サスペンスならそこでエンディング。
しかし本作品はもう一スパイスが加わる。
もしそのスパイスが無くてもすっきりと事件は終わるのだろうが、それを加えることにより更なる深みが味わえ、そして最初のプロローグに戻るのだろう。
ミステリー物は、1度目と2度目では目線が変わる。
勿論、犯人を知ってから読むのだから無意識に一つ一つの行動に意味が出てくる。
今までに何度も読み返したミステリーは「そして誰もいなくなった」しかないが、この著者の作品もいつか読み返したくなる作品なのかも知れない。
ただ、今はシリーズの続きが読みたいのでひたすら買い漁る日々。
ちなみに、本作も面白くて一夜にして読破した。
進む本ってあるんだよなぁ。